借金する人を守るために、2010年に利息の限度を20%に決めたはず・・・なのに、政府が再び金利を高くしようとしているって本当?

現在、消費者金融で借金をすると、金利(借りたお金に1年間で掛かってくる利息の割合)は最大で20%まで、と決められているのを知っていますか?

もう少し細かく言うと、借金の合計額が10万円未満なら金利の上限が20%、10万円以上100万円未満なら18%、100万円を超える金額なら、上限15%までの金利しかつけてはいけない決まりになっています。

消費者金融で借金をすると、「100万円しか借りてないのに、どうして1年後に300万も返さないといけないのですか!?」と言うような状況を想像する人もいるかもしれませんが、これは現在の法律上ではありえません。もしそういった業者が本当にいるなら、それは法律を無理した無認可の貸金業者(いわゆるヤミ金)です。正規の業者では、100万円を1年間借りっぱなしにしても利息は20万円にもなりません。まあ、まとまった額になるのは間違いないですが・・・。

この金利の上限は、2010年、貸金業(いわゆるお金を貸す商売)についての法律が新しくなった際に、設定された新しい基準です。同時に定められた、総量規制(借りる人の1年間の収入の1/3以上を貸してはいけない、という決まり)と合わせて、お金を借りる人を守るために改正された法律です。一般的に「改正貸金業法」と呼ぶのは、この2010年に大幅改正された、この法律のことなんですね。

そもそも、これ以前の消費者金融は、サラリーマン金融、いわゆる「サラ金」と呼ばれており、映画やドラマで怖い存在として描かれることもありました。暴力的な取り立てのシーンがひとつのパターンとしてよく使われていましたが、実際にそのようなこともあったようです。当時は法律の解釈で、29.2%までの金利が事実上認められていたため、高金利を払いきれず返済が滞る人が続出。借金の返済にさらに借金を重ねるという「多重債務者」を多く生んだため、社会問題になっていました。

そういった借金で火だるまになった人をこれ以上作らないように、貸金業に関する法律を大幅に見直したのが、2010年の改正貸金業法です。つまり、改正貸金業法とは、貸金業を安心して使える貸金にするため、業界に大幅テコ入れを行った法律、ともいえるのです。

しかし、ここにきてビックリするニュースが飛び込んできました。なんと、やっと定着した貸金業法を、またまた改正するとかなんとか。しかも、金利の上限を再び29.2%まで引き上げる、と言うではありませんか!!

自民党が検討している内容とは、こうです。

まず正式に登録されている貸金業者の中から、さらに決められた条件を満たしている業者を【認可貸金業者】と認定します。つまり、いくつかある正規の貸金業者のなかから、特にお墨付きをもらった業者、と言うことですね。

その新しい基準での認可業者に限り、現在限度額に応じて15%~20%に定められている上限金利を、最大29.2%に引き上げることを許可する、というのが検討されている改正の中身です。金利の引き上げに合わせて、総量規制も適応されないとか・・・。

新基準での認可を受けるためには、たくさんの条件があるようです。例えば

  • ①一定以上の人数、「貸金業務取扱主任者」という有資格者を配置すること
  • ②会社の研修がしっかり行われていること
  • ③業務停止命令を過去3年間受けていないこと
  • ④認可の取り消しに過去5年間あっていないこと
  • ⑤純資産額が一定以上あること
  • ⑥顧客に対しての返済能力調査やカウンセリングといったサポートが用意されていること

などが要求されるようです。

大々的な前回の法改正からわずか4年で見直し案が出てきた背景には、今後の景気の活性化を見越してとのこと。貸金業界を活性化して、銀行融資を受けにくい中小企業や個人事業主を救済するのが目的のようです。

しかし、借金に借金を重ねる人を作らないように、金利を制限したり、貸付金額を制限したりしていたのに、わずかな間でまたまた金利を引き上げて、総量規制も亡きものにして大丈夫なんでしょうか? まだまだ決定までには時間が掛かるでしょうが、目が離せないニュースですね。先祖がえりのような悪法にならないのを祈ります!

※これらの内容は、執筆時点(2014年8月)での情報に基づいているため、不確定なものが含まれています。その後のニュースや動向にご注意ください。